一般論として、多くの人は大学を卒業する直前に新卒採用の選考を受けて、卒業後にすぐその会社に就職します。
世界的に見ればこのように新卒一括の採用方法はあまり存在しませんが、それでもこの新卒採用と言う方式は長い間、学生が企業に就職する際のスタンダードな就職方法で多くの人はこれが普通の就職だと考えています。
しかし、働き方が多様化しつつある昨今においては、このような新卒採用ルート以外で自分の働き方を選ぶ事も許容されるようになりました。
本記事では、通常の大学生が行う就活を放棄する、就活しない生き方について焦点をあてて、普通の新卒採用の就活しない事を選択して後悔しないのかという事について説明します。
Contents
新卒採用と転職を比較した際の新卒採用を受けないデメリット
就活しない生き方がどのような生き方かを考える前に、まず新卒採用の選考ルートを利用しないデメリットについて転職の際の中途採用と比較しながら説明します。
一般論として多くの大企業は新卒一括採用を行います。
特に銀行などがそうですが、中途の採用ルートというものは存在するものの、実際には新卒で入社できないとその後中途で入社するのが非常に困難となります。
一般論として、人生の中で一番大企業に就職しやすいタイミングは大学の新卒採用時です。
また、転職よりも新卒採用の方がじっくりと就活ができます。新卒採用は長ければインターンシップなどを含めて1年程度の長期スパンで就職活動ができます。
しかし、転職活動にはこのような期間はじつはほとんどありません。
貯金や卒業保険が続く範囲内での就職になりますし、あまり履歴書に空白期間を空けたくないという思惑から妥協せざるを得ない事が少なくありません。
また、新卒就活の方が転職活動よりも良い環境で就活をしやすい傾向にもあります。
大学の友達なども同じタイミングで就職活動を行っている可能性が高いので、お互いに励まし合ったり、情報交換することができたりするのでモチベーションも保ちやすい環境だと言えます。
また、新卒採用の場合はセミナーやインターンシップなど就活に関するイベントが多いので情報を入手したり、人事担当者と接点が持ったりしやすいというメリットがあります。
更に、転職の場合は在職中に転職活動をする場合は仕事と並行して活動する必要がありますし、自分から積極的に情報を入手しにいかなければ企業分析はできません。
このような理由から新卒採用の方が就職するのに良い環境だと言えます。
更に中途採用の方が選考がシビアだと考えられます。転職の場合は、前職での実績や、自社が必要な人材像とのスキルのマッチング、希望している年収と折り合いがつけられるかなど様々な要素が合否に絡んできます。
このように学歴や成績、これまでの活動内容を中心として未来の活躍に期待を込めて選んでくれる新卒採用と比較すると中途採用はシビアになりがちです。
このように、大企業に入りたいという場合は新卒採用と中途採用では就職のしやすさが異なるので、ぜひ新卒として就職した方が良いと言えます。
就活をしない生き方にはどのような例がある?
では、このような新卒のメリットを活かして就活をしないというのはどの様なケースなのでしょうか。
典型的な例としては大学の教授職を狙う場合などが考えられます。
薄れているとはいいつつも未だに日本は新卒至上主義の傾向が強い国で、そこで言う新卒とは22歳前後で大学を学士として卒業した人材というのが標準的なモデルです。
民間の大企業でも理系の研究職などは大学院卒が優遇される事はありますが、基本的に大企業の一般職に就職しようとする場合は年齢が他の新卒よりも高くなってしいまいます。
高学歴とは言いつつも修士、博士の経歴は不利になりがちで、特に文系の場合は博士に進むと通常の就活はできないと言われています。
しかし、大学教授になりたい場合は、通常の就活を放棄しても修士課程を卒業し、博士課程に進まなければなりません。
このように大学教授を目指すという場合は就活しないという選択肢を選ばざるを得ません。
また、昔は司法浪人というのがありました。法科大学院制度が誕生して以降、法科大学院を卒業したけれども司法試験を諦めて企業の法務部に就職するというケースも珍しくなくなりました。
しかし、旧司法試験の時代は大学を卒業しても司法試験の勉強をするために就職せずに、無職のまま何年も勉強し続けるという人は存在しました。
このようになりたい職業に就くための試験に合格するためにあえて、新卒で就活をせずに勉強し続ける傾向は、税理士、公認会計士、公務員の志望者にもあります。
このような人はあえて就活をせずに試験勉強を続けます。
このように、新卒で就活をしないという生き方を選択する人は昔から一定数存在していたと言えます。
ただし、昔はこのような人が失敗して普通の企業へ就職する際の救済策はほとんどなく、意に沿わない就職を行う事が少なくありませんでした。
就活以外の就職先の見つけ方
この他にも、就活をせずに就職先を見つけるというパターンも存在します。
このような人は昔から存在していて、大学には入ったけれどもアルバイトが楽しすぎて、大学にはほとんど行かずに、そのまま卒業と同時にそのアルバイト先に就職するというタイプの人が周りにいるのではないでしょうか。
このような就職方法は正規の就活ルートではありませんし、大学できちんと勉強していないので軽くみられる傾向があります。
しかし、とても合理的な就職方法です。
新卒採用でどのような実務を行うか分からない会社に就職するよりも、アルバイトとして現場の一線で活躍して、企業の雰囲気も知った上で就職をするわけですから、入社後のミスマッチが少ない傾向があります。
また、アルバイトの経験分だけ同期の新卒入社の社員よりも活躍しやすい傾向があります。
大学で積極的に勉強に取り組まずに、サークルやボランティア活動に精を出す位なら、働きたい企業にバイトとして入社しておくというのも実は悪い選択肢ではありません。
また、いきなり自分で事業を起こすというパターンも考えられます。
昔は起業には資金が必要でしたし、情報も不足していたので大学を卒業してすぐ起業するというのは困難でしたが、今では大学生として勉強しつつ、WEBやシステムの制作で個人事業主として働くと言う人も珍しくなくなりました。
ただし、よっぽど事業が順調でもない限り、ビジネスマナーや社会人としてのスキルを身に付けるために、事業を辞めて卒業する際には普通の企業に入社するという人が多いと考えられます。
以上2つの中間パターンとして、ベンチャー企業をインターンシップで手伝ってそのまま入社してしまうというパターンもあります。
例えば、いわゆるベンチャー企業の中でも最初期のスタートアップの場合、きちんとした人事担当者がいなかったり、新卒の募集も行わなかったりする事が多々あります。
このような企業の就職は新卒だとできないと思われがちですが、実はそのような事は無くこのようにこれから成長していこうと言うスタートアップで大学生がインターンシップで働きはじめて、そのまま卒業後働くというパターンは少なくありません。
このように、就活をせずに就職先を決めるというパターンも少なからず存在します。
就活しないと後悔する?
このように、就活しない事のデメリットや、就活せずに就職先を決めるというパターンについて説明しましたが、就活をしない事で後々後悔することはあるのでしょうか。
もちろん、人間が誰しも過去の選択を後悔します。
就活をしていない人があの時に就活していれば良かったという後悔するケースはもちろんあります。
しかし、同時に就活をした人もあの時違う企業に就職していれば別の人生があったかもしれないと後悔する事も少なくないのです。
これは就活しても、しなくても、就活せずに就職したとしても変わりません。
現実が自分にとって理想的ではない、何か辛い事があった際には、人間は誰しもあの時こうしておけばよかったと後悔しますし、それは止める事はできません。重要なのは過去の選択肢に対する納得感です。
例えば、弁護士を目指して司法浪人をした結果、新卒で就活をせずに司法試験も合格できずに途中であきらめて中途採用で就職した人は、新卒で就職しなかった事を後悔するかもしれません。
しかし、新卒で就活せずに司法試験に挑戦した事が正しい判断で、全力で勉強した結果、ダメだったのであれば、新卒で就職しなかったのには納得感を持てます。
他にも、新卒で就職せずにそのまま結婚して主婦となった女性の場合、あの時に就職していれば、どんなに面白い仕事ができていただろうかと妄想するかもしれませんが、家庭が円満であれば就職せずに結婚した事にも納得感を持つはずです。
このように、就活をしなかったことを後悔し引きずり続けるという事は、しなかったことへの納得感が足りないせいだと考えられます。
特に理由がなければ就活した方が良い
以上の事から言える事は、特に理由がなければ就活をしないと後悔をするという事です。
新卒採用と言うのは人生の中でも最も恵まれた就職機会の一つです。
企業側は就活生に対して積極的に情報を開示してくれますし、時間を掛けて友達と励まし合いながら自分にとって良い就職先を探す事ができますし、今あるスキルではなくて将来の活躍に期待して採用してくれるので、自分の能力では無理目だと思われる企業でも採用されるチャンスはあります。
また、大企業は新卒一括採用が中心となっているので、新卒で入るのが一番難易度は低いと言えます。
特にやりたい事が無く安定した企業勤めがしたいという人にとってこのような新卒採用のチャンスを棒に振り就活をしないというのは極めて不合理な事です。
新卒採用が一番の優良・大企業に入るチャンスなので、この時に就活をせずに卒業してから中途採用で中途半端な企業に入社した場合は、新卒採用の時にちゃんと就職をしていれば今よりもかなり良い企業に入れていたかもしれないと後悔し続ける事となります。
一方で就活をしない理由がある人は、就活をしなくてもあまり後悔しません。
確かに何か仕事で辛い事があった際には、新卒で就職しておけばよかったと思うかも知れませんが、決断に納得感があるからいつまでも後悔し続けないからです。
人生設計と就職活動
このように納得感があれば就活をしなくても後悔する可能性は低い傾向はありつつも、一昔前はそのリスクは極めて高いモノでした。その点では現代は昔より恵まれていると言えます。
昔は新卒の際にどの企業に就職できるかという事がその後の人生に大きく影響しました。
新卒で企業に入れないとその後就職した事が無い既卒として雇ってくれる企業はほとんどありませんでした。
また、大企業に入れないと、転職市場が未発達なので働いていた会社よりも高待遇の会社に転職できるというケースはほとんどなく、一つの会社で出世レースを勝ち抜いて行くことが重要で、レースからはみ出すと待遇の悪い中小企業にしか再就職できない、40歳を過ぎれば年齢を理由に転職が非常に困難になるという時代がありました。
このような時代において、人生設計と就職活動は密接に関連していました。新卒でできるだけ良い会社に入って、モーレツ社員として働く事が成功への近道だと考えられていたからです。
このような時代において就活をしないという事は非常にリスクが高かったと言えます。
しかし、現代の人生設計は就職活動自体ではなく個人のキャリアプランに大きく依存するようになりましたし、失敗を挽回するチャンスも存在します。
終身雇用や年功序列の制度を崩壊し、一つの会社に定年まで勤め続けるという事の方が今ではレアケースとなりました。
また、少子高齢化、団塊の世代の退職によって産業の大きさに対して生産年齢人口が不足しているため、どこの企業も採用に力をいれています。
このような情勢から個人が自分キャリアプランを追求しやすくなったのです。
例えば、ここ10年間で大きく変わったことが「新卒枠」の拡大です。
従来中途採用の枠でしか就職できなかった人たちに対して第二新卒、既卒の枠が充実しました。これにより、新卒時の就職活動に失敗した、企業選びを間違って就職した人達も再び新卒に準ずる条件で就職するチャンスが与えられました。
また、転職市場が発達したり、企業がプロフェッショナル人材を志向し始めた結果により、歴戦のエンジニアや敏腕営業マンなどのプロフェッショナル人材は30歳、40歳を過ぎても良い条件で転職できる様になりました。
また、起業の難易度が低下した事から特にIT系の業界を中心としてフリーランスとして働く人達も増えました。
このように一つの企業に依存することなく、自分で働き方を選べるようになった時代において重要なのはどの企業に新卒で入るかというよりも、どのようなスキルでどのように稼ぐのか自分のキャリアプランや注力する分野やスキルのポートフォリオを組む能力の方が重要になっていると言えます。
後悔する人と後悔しない人の違い
以上のことをまとめると、特に働きたい職業が無い、一つの会社で安定して定年まで勤め上げたいという人は就活をしないと後悔する傾向がありますが、何か理由があって就活をしないという人はその理由に納得していればあまり後悔をする事はありません。
就職において後悔しがちなのは、新卒採用で良い企業に入ればとりあえず40年安定して働けると思って、会社を退職する場合も想定したキャリアプランを組まなかったり、スキルのポートフォリオをきちんと考えなかった場合の方がはるかに多いのです。
就活しないと後々後悔をするのではないかという事を考えるのではなく、まずその前提として自分がどのようなキャリアプランで仕事をしたいのか、どの様なスキルを持ってお金を稼ぐのかをまず考えた方が良いと考えられます。
ただし、これについてはまだ社会にでていない段階で簡単に答えが見つかる問題ではないので、これに悩む場合は新卒採用で就活した方が後悔するリスクは軽減されると言えます。
ペンネーム:R.Y(就活サポーター)
新卒でコンサルティング会社に入社後、中小企業の採用サポートに従事。
数十社の企業の採用業務に携わってきました。
現在はフリーランスの経営コンサルタントとして様々な企業の経営サポートを行っています。
就活に関しては企業の目線を踏まえつつ就活生の皆様に実践的で役立つ情報を提供できるように取り組んでいます。
「周りの友達が内定をもらい始める中、自分だけが取り残されている気がして不安」
「そもそも自分が本当にやりたい仕事がよくわからない」
そのような方におすすめなのが、プロの専任コンサルタントから履歴書・エントリーシートの書き方、面接やグループディスカッション対策などを無料で個別サポートしてもらえる就活サポートサービスです。
中でもAIによる独自のマッチングシステムと就活のプロによる丁寧なカウンセリングで91.7%の内定率を誇る『JobSpring』はおすすめです。
一人ひとりの適性を丁寧に分析して、入社後にいきいきと働けて自分の市場価値を高めることができる職場を選んでもらえるので、早期離職率が0.1%と非常に低いのも特徴です。
『JobSpring』について詳しく知りたい方はこちらをチェックしてみてください。
チェック⇒無料就活サポート『JobSpring』公式サイトはこちら
(*登録すると『03-6261-5989』という番号で『JobSpring』の担当者から折返し電話がかかってくる場合があります。)